1.はじめに
競馬の三冠とは、3歳馬がクラシックと呼ばれる特定のレースを全て制することを指します。
これらのレースは英国のレースをモデルにしており、3歳の時期にしか出走することはできません。
一生に一度しか出場できないため、三冠の価値は非常に高いものとされています。
本記事では、競馬のクラッシックと三冠の関係について解説するだけでなく、牝馬三冠や古馬三冠についても触れます。
三冠を達成することは、競馬史上の偉業とされるため、馬主や騎手、ファンにとっても大きな夢となっています。
競馬について知識を得る上で、この記事は少しでもお役に立つことができればと考えてます。
2.クラシック
クラシックは、日本の中央競馬の3歳限定のGIの中で、桜花賞、皐賞、オークス、日本ダービー、菊花賞の5レースを指します。
これらのレースは、イギリスで創設されたクラッシックレースをモデルにしてことからクラッシックと呼ばれています。
日本 | イギリス | ||
レース名 | レース名 | 条件 | 創設 |
皐月賞 | 2000ギニー | 牡・牝 | 1809年 |
桜花賞 | 1000ギニー | 牝 | 1814年 |
オークス(優駿牝馬) | オークス | 牝 | 1779年 |
日本ダービー(東京優駿) | ダービーステークス | 牡・牝 | 1780年 |
菊花賞 | セントレジャーステークス | 牡・牝 | 1776年 |
3.三冠
クラッシックレースのうち、牝馬限定戦となる桜花賞とオークスを除いた、皐月賞、日本ダービー、菊花賞の3レースを指します。
レース名 | 条件 | 距離 | 競馬場 | 開催月 |
皐月賞 | 牡・牝 | 芝2000m | 中山 | 4月 |
日本ダービー(東京優駿) | 牡・牝 | 芝2400m | 東京 | 5月 |
菊花賞 | 牡・牝 | 芝3000m | 京都 | 10月 |
(参考)歴代三冠馬
日本で三冠馬となった牡馬は、2023年6月現在で8頭です。
年 | 馬名 | 騎手 |
1941年 | セントライト | 小西喜蔵 |
1964年 | シンザン | 栗田勝 |
1983年 | ミスターシービー | 吉永正人 |
1984年 | シンボリルドルフ | 岡部幸雄 |
1994年 | ナリタブライアン | 南井克巳 |
2005年 | ディープインパクト | 武豊 |
2011年 | オルフェーヴル | 池添謙一 |
2020年 | コントレイル | 福永祐一 |
4.牝馬三冠
クラッシックレースのうち、牝馬限定戦となる桜花賞とオークスに、3歳牝馬限定のGIレースである秋華賞(注)を加えた3レースを指します。
(注)1995年以前はエリザベス女王杯と呼んでいました。
レース名 | 条件 | 距離 | 競馬場 | 開催月 |
桜花賞 | 牝 | 芝1600m | 阪神 | 4月 |
オークス(優駿牝馬) | 牝 | 芝2400m | 東京 | 5月 |
秋華賞 | 牝 | 芝2000m | 京都 | 10月 |
(参考)歴代牝馬三冠馬
日本で牝馬三冠馬となった牡馬は、2023年6月現在で6頭です。
年 | 馬名 | 騎手 |
1986年 | メジロラモーヌ | 河内洋 |
2003年 | スティルインラブ | 幸英明 |
2010年 | アパパネ | 蛯名正義 |
2012年 | ジェンティルドンナ | 岩田康誠 川田将雅 |
2018年 | アーモンドアイ | C.ルメール |
2020年 | デアリングタクト | 松山弘平 |
5.秋古馬三冠
古馬のクラシックである秋の天皇賞とジャパンカップ、有馬記念の3レースを指します。
レース名 | 条件 | 距離 | 競馬場 | 開催月 |
天皇賞(秋) | 牡・牝 | 芝2000m | 東京 | 10月 |
ジャパンカップ | 牡・牝 | 芝2400m | 東京 | 11月 |
有馬記念 | 牡・牝 | 芝2500m | 中山 | 12月 |
2023年6月現在において秋古馬三冠を達成した馬は、2000年のテイエムオペラオー、2004年のゼンノロブロイの2頭のみとなっています。
※同一年に、秋古馬三冠を制覇した馬には、内国産馬(日本国内で生産されたウマ)では2億円、外国産馬では1億円のボーナスがもらえます。
6.補足
6.1 天皇賞
古馬のクラッシックと呼ばれ、春と秋に開催します。
重賞の中でも最も歴史が古く、1905年(明治38年)横浜の日本レースクラブが明治天皇から下賜された“菊花御紋付銀製花盛器”を賭けて競った『エンペラーズカップ』が前身と言われています。
その後、エンペラーズカップはのちに「帝室御賞典」と呼ばれ、明治末期から1937年(昭和12年)まで日本各地で年に10回行われていました。
昭和12年から「天皇賞」と呼ばれ、秋は東京、春は阪神で行われるようになり、昭和19年以降、春は京都開催になりました。
レース名 | 条件 | 距離 | 競馬場 | 開催月 |
天皇賞(春) | 牡・牝 | 芝3200m | 京都 | 4月or5月 |
天皇賞(秋) | 牡・牝 | 芝2000m | 東京 | 10月 |
6.2 有馬記念
1955年(昭和30年)まで、暮れの中山競馬場では中山大障害が最大の呼び物で精彩を欠いたもので、これを打破する目的で、当時の日本中央競馬会(JRA)理事長だった有馬頼寧(ありまよりやす)氏の「ファン投票で出走馬を選出する方式」の企画により、1956年(昭和31年)に「中山グランプリ」を創設しました。
1957年(昭和32年)1月に創設者の有馬氏が急逝し、第2回からは有馬氏の功績を称えて「有馬記念」に改称して今に至ってます。
有馬記念の「有馬」とは、中山グランプリを創設した当時の日本中央競馬会(JRA)理事長だった有馬氏の姓から取られています。
6.3 日本レースクラブ
1862年(文久2年)に居留外国人が横浜レース倶楽部として発足し、居留外国人のためのレジャー施設として根岸競馬場で馬券を伴う様式競馬でレースを行ってました。
当時は、日本では賭博は禁止されてなしたが、治外法権下で政府からの圧力もありませんでしいた。
1875年(明治8年)に、日本人の入会が可能となり日本レースクラブと改称されました。
この措置により入会した日本人には、伊藤博文、松方正義、大隈重信、榎本武揚、岩崎弥之助、尾崎行雄などがいました。
7.おわりに
競馬の三冠は、3歳馬がクラシック競走の全てを制する偉業を達成することを指します。この三冠は一生に一度のチャンスであり、その価値は非常に高いものです。
本記事では、競馬のクラシックと三冠の関係について解説しました。
また、牝馬三冠や古馬三冠にも触れました。
三冠達成は競馬史上の偉業であり、馬主や騎手、ファンにとっても大きな夢となっています。この記事が競馬についての知識の一助となり、皆さんの理解を深める手助けになれば幸いです。