1.はじめに
馬は古くから人間とともに歩み、さまざまな種類が存在します。本記事では、馬の種類について紹介します。
日本では一般的に、軽種、重種、中間種、在来種の4つのカテゴリーに馬を分類します。
海外では別の分類方法がありますが、この記事では詳細は割愛します。
さらに、馬の祖先であるエオヒップスとエクウスについても簡単に紹介します。
馬の種類についての基礎知識を得る上で、この記事は少しでもお役に立つことができればと考えてます。
2.日本で用いられる分類
日本での馬の分類法は、一般的に「軽種」「重種」「中間種」「在来種」の4つに分けられ、体格によっても分類されます。
この分類法は、1937年に馬政局によって定められた「馬の種類呼称」に基づくものです。
農林水産省の家畜統計では、4つの種類に加えてポニーを小格馬として分類しています。
軽種は、サラブレッドのようなスリムな体つきの馬を指し、重種はペルシュロンのように大柄でがっしりとした体つきの馬を指します。
中間種は、サラブレッドとペルシュロンの中間の体格を持つ馬で、在来種は日本固有の馬種を指します。これらの種類にはそれぞれ特徴があり、役割も異なります。
2.1 軽種
馬の中でも体型がスマートで、体重が約400~500キログラム程度の馬のことを指します。
この種類の馬は運動能力に優れ、競馬や乗馬に適しています。主に5種類の種類があり、それぞれサラブレッド、サラ系種、アラブ、アラブ系種、アングロアラブと呼ばれます。
サラブレッドは細い体つきで、主に競馬に使われます。サラ系種はサラブレッドと他種の交配種です。
アラブとアラ系種は中近東原産の馬で、運動能力に優れ、耐久力があります。
アングロアラブは、アラブとサラブレッドの交配種で、アラブの耐久力に加えてサラブレッドのスピードが備わっています。
2.2 重種
重種とは、馬の品種の一つであり、西洋種(※)に分類されます。
体格が大きく、体重も重く、乗馬には向かず、主に農耕や重量物の運搬などに使用されます。
中世ヨーロッパでは、重い甲冑を着込んだ騎士の乗馬としても使用されていました。
重種は、馬力やスタミナに優れており、ひき馬に適しているため、現代でも農耕や運搬などに使用されています。
北海道島特有の競馬競走の一種、ばんえい競馬で用いられているのは、この重種でもペルシュロンやベルジャンの混血馬や、北海道和種などの在来種の混血(重半血)が多いです。
なお、「ばんえい競馬」につきましては、以下の記事にて詳細を記載しておりますので、ご興味をお持ちいただけましたら合わせてご覧ください。
※ 西洋種
ペルシュロン種、ブルトン種など、主にヨーロッパ原産の馬種で、体格が大きく体重も重く、動きが緩慢だが、馬力があります。
反応が鈍く沈着な性格から冷血種ともいわれてます。
(参考)東洋種
体格は小さく、体高150cm前後、記憶力が良く、活発で速力速く、持久力に富む馬。乗馬や使役に適します。
代表的な馬は、アラブ、ペルシャ、支那、日本の馬などとなります。
2.3 中間種
中間種は、日本での馬の分類法において、軽種馬と重種馬の混血馬を指します。
この中間種は、軽種馬の持つ軽快さと重種馬の持つ力強さを兼ね備え、比較的温厚な性格を持っています。
そのため、軽い馬車の牽引や乗馬、馬術競技などに幅広く用いられています。
代表的な中間種としては、クオーターホース、セルフランセ、ウェスタンファーレン、スタンダードブレッドなどが挙げられます。
クオーターホースは、アメリカで生まれたスピード競技に適した馬種です。
セルフランセは、フランス原産の馬種で、優れた走力と温和な性格が特徴です。
ウェスタンファーレンは、ドイツ原産で、体格が小さいが力強く、幅広い用途に適しています。
スタンダードブレッドは、アメリカ原産で、競走馬として有名な馬種であり、温和で扱いやすい性格が魅力です。
スタンダードブレッドは、速歩が得意なため主に繋駕速歩競走としても使用されています。
中間種は、その種の特性によって使い分けられるため、多くの馬術愛好家や乗馬クラブで愛されています。
2.4 在来種
古くから日本にいて、日本には8種(北海道和種馬、木曽馬、野間馬、対州馬、御崎馬、トカラ馬、宮古馬、与那国馬)が現存しており、海外ではスマトラ・ポニーなどが知られています。
(参考)日本在来馬
日本での馬の歴史は古く、古墳時代に朝鮮半島からモンゴル高原を経由して輸入されました。
当初は特別な身分の人々しか所有できない貴重な存在でしたが、その有用性から国内での繁殖が進み、日本固有の品種である“和種”が生まれました。
和種馬は庶民の間でも活躍し、田畑を耕し、荷物を運ぶなど人間のパートナーとして重宝されました。
しかし、明治時代以降には欧米諸国との競争を目指すため、身体の大きな洋種との交配が進み、和種馬は激減してしまいました。
その中でも、外国の馬とほぼ交雑せずに現在まで残った和種馬を「日本在来馬」と呼びます。
今でも日本で育てられ、馬術競技や伝統行事などで活躍しています。
2.5 ポニー
ポニーは、体高が147cm以下の馬の総称です。特定の品種を指すわけではありません。
賢く温和な性格から、牧場や乗馬クラブのマスコット的存在として愛され、子供や小柄な女性の乗用馬として活躍しています。
代表的なポニーには最も小さいファラベラポニーや、シェトランドポニー、ウェルシュマウンテンポニー、ハクニーポニー、フェルポニー、ハフリンガーなどがいます。これらのポニーは頭が良く、温和であり、耐久力にも優れています。
(参考)
https://equia.jp/trivia/post-8249.html
https://www.minnano-jouba.com/mame_chishiki02.html
3.海外における分類
海外では、さまざまな分類法があり、用途別に分類されるばかりでなく、体形、体格などによっても分けられるますが、その分類法は統一されていません。
【分類法の例】
(1)純血種と半血種
(2)冷血種と温血種
(3)軽種、重種および中間種 ※日本で用いられる分類法
(4)乗用馬、輓用馬および駄馬
(5)東洋種と西洋種
(6)短頭種と長頭種
4.馬の祖先
馬の祖先は最古の「エオヒップス」と呼ばれる種で、現代の馬とは容姿が異なっていました。
「エオヒップス」から現代の馬である「エクウス」へと5500万年の進化がありました。
進化の過程では、「メソヒップス」、「メリキップス」、「プリオヒップス」という段階を経て進んでいきました。
4.1 エオヒップス
「エオヒップス」とは、馬の最も古い祖先であり、約5500万年前に北アメリカやヨーロッパに生息していました。
体高は約35cmと小さく、蹄はなく、前足の4本の指と後足の3本の指、厚い爪が特徴です。
顔の正面に目があり、草ではなく木の芽などを食べる葉食性でした。
また、歯冠は低く、木の芽を押しつぶすのに適した歯を持っていました。
イギリスの解剖学者が最初に発見し、「ヒラコテリウム」と命名しましたが、後にアメリカの古生物学者が「エオヒップス」と呼ぶことで、現代の馬の最古の祖先であることが判明しました。
※参考:馬の進化 ~ヒラコテリウム(エオヒップス)からエクウスまでを辿る~ | Pacalla(パカラ)
4.2 エクウス
約100万年前、エクウス(エクウス・カバルス)が現れました。
彼らは肉食獣から逃れるため、蹄で歩く進化を遂げました。
エクウス・カバルスは顔の側面に目を持ち、視界は全方向に広がっています。
首は長く、蹄に加えて蹄叉(ていさ)も備えています。
彼らは草食性であり、現代の馬はエクウス・カバルスに分類されます。
エクウスは現代馬の祖先であり、速く走る能力と草食性の特徴を備えています。
※参考:馬の進化 ~ヒラコテリウム(エオヒップス)からエクウスまでを辿る~ | Pacalla(パカラ)
5.おわりに
馬は古くから人間とともに歩んできた存在であり、さまざまな種類が存在します。
本記事では、日本では軽種、重種、中間種、在来種の4つに分類される馬について紹介しました。
海外では異なる分類方法がありますが、詳細は割愛しました。
また、馬の祖先であるエオヒップスとエクウスにも触れました。
この記事を通じて、馬の種類に関する基礎知識を得ることができれば幸いです。