1.はじめに
この記事では、乗馬に興味がある人や馬と触れ合いを通じて新しい世界を発見したい人のために、主要な馬の競技について紹介しています。
馬場馬術競技、障害馬術競技、総合馬術、レイニング、エンデュランス、馬車競技、ヴォルティング、パラエクストリアン、ポロの9つの競技について解説しています。
それぞれの競技の特徴や、ルールなどを紹介することで、馬の競技に興味がある方の少しでもお役に立てればと考え記事を書いてます。
2.馬場馬術競技
馬場馬術競技は、オリンピック公式種目であり、20m×60mの長方形の競技アリーナで行う正確さや美しさを競う競技です。
基本的には、「常歩(なみあし)」、「速歩(はやあし)」、「駈歩(かけあし)」という3種類の歩き方を基礎として、様々なステップや図形を描いたりする演技を行います。
競技には、プログラム(演技内容)が決まっている「規定演技」と、音楽に合わせて自由に演技する「自由演技」の2種類があります。
さらに、競技レベルによって「セントジョージ」、「インターメディエイトⅠ・Ⅱ」、「グランプリ」といったカテゴリーが分けられます。
この競技は、しばしば「ドレッサージ」とも呼ばれています。
3.障害馬術競技
障害馬術競技は、馬と騎手が協力して障害物を飛び越えたり、美しい動きを見せたりする競技です。
オリンピックなどの世界的な大会でも採用されており、正確な技術が求められます。
競技アリーナ内に設置された12〜15個程度の障害物を決められた順番で飛び越え、減点数や走行タイムにより順位を決定します。
また、障害物の落下や反抗といった過失があった場合は減点やペナルティタイムが加算されます。
競技は160㎝クラスを最高に、10㎝ずつのクラスが分かれており、コースに設置された十数個の障害を規定の経路に従いジャンプしてタイムを競う競技や、高さを競う競技もあります。
技術の高さや馬と騎手のコンビネーションが重要で、見応えのある競技とされています。
なお、「乗馬の障害競技の種類、ルール、競技の流れを解説」につきましては、以下の記事にて詳細を記載しておりますので、ご興味をお持ちいただけましたら合わせてご覧ください。
4.総合馬術
総合馬術競技は、3日間にわたって馬場馬術競技(1日目)、クロスカントリー競技(2日目)、障害馬術競技(3日目)の3種目を同一人馬のコンビネーションで行う競技です。
この競技はイベンティングとも呼ばれ、オリンピック公式種目の1つです。
馬場馬術競技は、馬場内で行われる競技で、正確な動きや調教技術が求められます。
クロスカントリー競技は、不整地を走る競技で、自然の状態に近い起伏の多いコースを走破することが求められます。
最後の障害馬術競技は、障害物を飛び越える競技で、速さと正確性が求められます。
競技は3日間にわたって行われ、3種目の減点合計の少ない人馬が上位となります。
この競技は、人馬の連携力や技術力が試されるため、非常に厳しい競技となっています。
また、野外でのクロスカントリー競技は、自然との闘いとなるため、特に過酷な競技として知られています。
5.レイニング
レイニングは、カウボーイの生活から生まれたウェスタン馬術競技です。
競技では、7〜8の演技科目で構成されるパターンを作成し、そのパターンに従って演技を行います。
正確に演技を行うことが求められます。
レイニングの技には、スライディングストップ、スピン、サークル、リードチェンジ、バックアップ、ロールバックがあります。
スライディングストップは、騎手が馬を急停止させる技で、スピードが必要です。
スピンは、騎手が馬を円周運動させる技で、馬が自分の軸の周りを回転するように動きます。
サークルは、馬が円を描くように動き、リードチェンジは、馬がギャロップ中に足を交換する技です。
バックアップは、馬が後退する技で、ロールバックは、馬が立ち上がることなく向きを変える技です。
レイニングは、馬の訓練や騎手の技術が求められる競技で、馬の反応速度や柔軟性が競われます。
演技科目を正確にこなすことで高得点を獲得し、競技者同士の技術の差が明確に表れます。
6.エンデュランス
エンデュランスは、数十キロメートル以上の長距離を数時間かけて騎乗し、その走破タイムを競う耐久馬術競技です。
競技中は定期的に獣医師が馬の健康状態をチェックし、競技の続行を判断します。
一般的には60km以上の距離をエンデュランス、それ以下をトレーニングライドと呼びます。
世界選手権では、160kmの長距離を走破することが求められます。
競技者は馬の健康管理にも細心の注意を払い、常に状態を確認しながら走行します。
タイムよりも完走が重要視され、競技後には騎乗馬の健康状態を確認するための検査が行われます。
エンデュランスは、騎手と馬のチームワークが求められる競技であり、両者の協力がなければ競技を完遂することはできません。
7.馬車競技
馬車競技は、1頭から6頭までの馬に引かせた馬車を用いて、タイムと技術を競う競技であり、ドライビングとも呼ばれます。
総合馬術に基づいた日程で開催され、3日間にわたって「ドレッサージュ」「クロスカントリー」「コーン障害」の3つの種目が行われます。
ドレッサージュでは、正確で美しい動きを求められ、クロスカントリーでは、野外の不整地を走りながら時間を競います。
最後のコーン障害では、速度とコントロールが求められ、馬車をコース内を操って障害物を回避する技術が試されます。
競技においては、ドライバーと馬の一体感が重要で、正確な指示やタイミングが必要です。
8.ヴォルティング
ヴォルティングは、ランジャーと呼ばれる人が馬を走らせ、馬に跳び乗って演技を行う競技です。
団体戦と男女別の個人戦があり、規定演技と自由演技の2種類があります。
競技者は馬上で様々なポーズをとったり、空中で回転をしたりする芸術的な演技を行います。
日本では競技としては行われていませんが、軽乗馬としての訓練として実施されています。
競技としては欧米を中心に盛んに行われてます。
9.パラエクストリアン
パラエクストリアンは、障がい者乗馬の馬術競技のことです。
選手の障害の程度に応じて、Ⅰa・Ⅰb・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの5つのグレードに分かれており、それぞれ異なる課目があります。
グレードの判定は、FEI(国際馬術連盟)パラエクストリアン委員会に公認された医師または理学療法士2名によって行われます。
障がい者乗馬は、乗馬による身体的・精神的な効果をもたらすためにも重要な活動であり、パラエクストリアンは障がいを持つ人々にとって、乗馬を通じたスポーツの楽しみと健康的な運動を提供しています。
10.ポロ
ポロは、馬に乗って行う団体球技の一種で、世界で最も古い歴史を持つ競技の一つです。
起源はペルシャで、騎馬隊の軍事練習としてインド、中国、日本へ伝わりました。
競技場は270x150mで、1チームは通常4人で構成されます。
競技者は馬に乗り、マレットと呼ばれるスティックで球を打ち、相手チームのゴールに運んで得点を競います。
試合時間は7分間の「チャッカー」(chukkas)と呼ばれる区切りに分けられ、1試合はチャッカー6回で行われます。
1人の選手は試合中4頭まで馬を替えることができますが、1頭の馬を連続する2つのチャッカーに続けて出すことはできません。
ポロは、エレガントで迫力のある競技であり、国際大会も開催されています。
11.おわりに
この記事では、主要な馬の競技について解説しました。
馬場馬術競技、障害馬術競技、総合馬術、レイニング、エンデュランス、馬車競技、ヴォルティング、パラエクストリアン、ポロの9つの競技それぞれの特徴やルールについて触れました。
これらの情報は、乗馬に興味がある人や、新しい競技を知りたい人にとって役立つものであると考えられます。
馬の競技に興味を持つ人にとって、この記事が参考になることを願っています。